Reactをセットアップするための環境設定

2025-08-06

はじめに

React(リアクト)は、Facebook(現Meta)が開発したJavaScriptライブラリで、主にWebアプリケーションの**ユーザーインターフェース(UI)**を構築するために使われます。プログラミング言語そのものではなく、JavaScriptの拡張ツールです。

Reactの特徴は、コンポーネント指向という考え方です。これは、画面の一部を独立した部品(コンポーネント)として定義し、それらを組み合わせてアプリを作る方法です。例えば、ボタンや記事リストなどをそれぞれ部品化して再利用できます。

また、仮想DOMという技術を使って、画面の描画処理を効率化し、表示の高速化を図っています。これにより、Reactは動的で複雑な画面も軽快に動作させることができます。

Reactは**SPA(シングルページアプリケーション)**と呼ばれる動的なWebサイトによく使われており、拡張版としてNext.jsなどのフレームワークも存在します。初心者でも使いやすく、学習する価値の高いツールです。

Node.js/npmのインストール

Reactアプリケーションを開発するためには、まずNode.jsとnpm(Node Package Manager)をインストールする必要があります。Node.jsはJavaScriptをサーバーサイドで実行できるランタイム環境であり、npmはJavaScriptのパッケージマネージャーです。React自体もnpmを通じてインストールされるため、この2つは必須のツールです。

Node.jsのインストール手順

  1. 公式サイトからのダウンロード:
    Node.jsの公式サイト(https://nodejs.org/)にアクセスします。サイトには「LTS(Long Term Support)」版と「Current」版の2つのバージョンが表示されています。通常は安定版であるLTS版を選択することをおすすめします。
  2. インストーラーの実行:
    ダウンロードしたインストーラーを実行し、指示に従ってインストールを進めます。特に設定を変更する必要がなければ、デフォルトの設定で問題ありません。
  3. インストールの確認:
    インストールが完了したら、コマンドプロンプト(Windows)またはターミナル(Mac/Linux)を開き、以下のコマンドを実行してバージョンを確認します。
nodejs
node -v
npm -v

正しくインストールされていれば、それぞれのバージョン番号が表示されます。

npmの基本操作

npmはNode.jsと一緒にインストールされます。以下はnpmの基本的な使い方です。

  1. パッケージのインストール:
    プロジェクトで必要なパッケージをインストールするには、以下のコマンドを使用します。
npm install <package-name>

例えば、Reactをインストールする場合は次のようになります。

npm install react
  1. グローバルインストール:
    一部のツールはグローバルにインストールすることで、どのプロジェクトからも利用できるようになります。
npm install -g 
  1. package.jsonの作成:
    新しいプロジェクトを始める際には、まずpackage.jsonファイルを作成します。このファイルにはプロジェクトの情報や依存関係が記述されます。
npm init

対話形式でプロジェクトの情報を入力するか、-yオプションでデフォルト値を利用できます。

npm init -y

トラブルシューティング

インストール時に問題が発生した場合、以下の点を確認してください。

  • 管理者権限: グローバルインストール時には管理者権限が必要な場合があります。
  • ネットワーク環境: 企業のネットワークなどではプロキシ設定が必要な場合があります。
  • バージョン競合: 既に古いバージョンのNode.jsがインストールされている場合は、一度アンインストールしてから新しいバージョンをインストールしましょう。

代替ツール: Yarn

npmの代替としてFacebookが開発したYarnというパッケージマネージャーもあります。より高速で信頼性の高い依存関係の解決が特徴です。

npm install -g yarn

Yarnの基本的なコマンドはnpmと似ています。

yarn add <package-name>
yarn remove <package-name>

VS Codeのセットアップ

Visual Studio Code(VS Code)はMicrosoftが開発した無料のコードエディターで、React開発に非常に適しています。豊富な拡張機能とデバッグツールが特徴です。

VS Codeのインストール

  1. ダウンロード:
    公式サイト(https://code.visualstudio.com/)からOSに合ったバージョンをダウンロードします。
  2. インストール:
    ダウンロードしたインストーラーを実行し、指示に従ってインストールします。特にこだわりがなければデフォルト設定で問題ありません。

React開発に役立つ拡張機能

VS Codeの強力な点はその拡張機能エコシステムです。React開発に特に有用な拡張機能を紹介します。

  1. ES7 React/Redux/GraphQL/React-Native snippets:
    Reactコンポーネントのスニペットを提供します。rfcと入力すると関数コンポーネントのテンプレートが自動生成されます。
  2. Prettier – Code formatter:
    コードを自動的にフォーマットしてくれます。一貫したコードスタイルを維持するのに役立ちます。
  3. ESLint:
    コードの潜在的な問題を指摘してくれるリンターです。Reactのベストプラクティスに沿ったコーディングが可能になります。
  4. JavaScript (ES6) code snippets:
    ES6の構文を簡単に入力できるようになります。
  5. Bracket Pair Colorizer 2:
    対応する括弧に色を付けて見やすくします。ネストが深いコードでも視覚的に理解しやすくなります。

設定のカスタマイズ

VS Codeの設定はsettings.jsonでカスタマイズできます。React開発におすすめの設定をいくつか紹介します。

{
  "editor.tabSize": 2,
  "editor.formatOnSave": true,
  "javascript.format.enable": true,
  "emmet.includeLanguages": {
    "javascript": "javascriptreact"
  },
  "files.autoSave": "afterDelay",
  "workbench.colorTheme": "Default Dark+",
  "eslint.validate": ["javascript", "javascriptreact"],
  "prettier.singleQuote": true,
  "prettier.jsxSingleQuote": true
}

デバッグ設定

VS Codeには強力なデバッグツールが内蔵されています。Reactアプリケーションをデバッグするには、以下の設定を.vscode/launch.jsonに追加します。

{
  "version": "0.2.0",
  "configurations": [
    {
      "type": "chrome",
      "request": "launch",
      "name": "Launch Chrome against localhost",
      "url": "http://localhost:3000",
      "webRoot": "${workspaceFolder}"
    }
  ]
}

統合ターミナルの活用

VS Codeには統合ターミナルが備わっており、エディター内でコマンドを実行できます。Ctrl+`(バッククォート)で表示/非表示を切り替えられます。