
API通信とデータベース操作の概要
2025-08-27はじめに
これまでReactの核心概念を学び、フロントエンド開発の基礎を習得されてきたことと思います。コンポーネント設計、State管理、イベント処理など、クライアントサイドの重要な概念を理解した今、次のステップとして「バックエンド連携」の学習に進みましょう。
現代のWebアプリケーションは、フロントエンドだけでは完結しません。データの永続化や複雑な処理を行うために、バックエンドとの連携が不可欠です。この記事では、ReactアプリケーションからAPIを介してバックエンドと通信し、データベースを操作する方法の概要を解説します。
これまでの学習との関連性
これまで学んだReactの知識は、バックエンド連携においても重要な基盤となります:
- コンポーネントとState: APIから取得したデータを表示・管理するために使用
- useEffect: コンポーネントのマウント時にAPIリクエストを実行するために使用
- イベント処理: ユーザー操作に応じてAPIにデータを送信するために使用
- フォーム処理: ユーザー入力データをバックエンドに送信するために使用
これらの概念を応用しながら、フルスタック開発の世界に足を踏み入れましょう。
バックエンド連携の基本概念
クライアント・サーバー・モデル
ブラウザ(クライアント)がサーバーにリクエストを送信し、サーバーが処理結果をレスポンスとして返すというモデルです。Reactアプリケーションはクライアント側で実行され、バックエンドAPIと通信します。
[図解: クライアント・サーバー・モデル]
Reactアプリケーション(クライアント) → HTTPリクエスト → バックエンドサーバー(API)
Reactアプリケーション(クライアント) ← HTTPレスポンス ← バックエンドサーバー(API)
API(Application Programming Interface)
APIは、ソフトウェアコンポーネント同士が相互に通信するためのインターフェースです。Web開発では特に、Web API(HTTPを介してデータ交換を行うAPI)が重要です。
REST API
RESTはWeb APIの設計原則の一つで、以下の特徴があります:
- 統一インターフェース
- ステートレス性
- キャッシュ可能性
- 階層化システム
RESTful APIでは、HTTPメソッド(GET, POST, PUT, DELETE)を使用してリソース操作を行います。
バックエンド連携の技術スタック
これから学習する技術要素の全体像を把握しましょう:
1. バックエンドフレームワーク (Express.js)
Node.js上で動作する軽量なWebアプリケーションフレームワークです。ルーティング、ミドルウェア、テンプレートエンジンなどの機能を提供します。
2. データベース (MySQL)
リレーショナルデータベース管理システムで、構造化データの保存と管理を行います。
3. ORM (Prisma)
オブジェクト関係マッピングツールで、JavaScriptオブジェクトとデータベーステーブルの間の変換を行います。生のSQLクエリを書かずにデータベース操作が可能になります。
4. データ取得ライブラリ (Fetch API / Axios)
クライアント側からサーバーAPIへのHTTPリクエストを送信するためのライブラリです。
5. 認証機構 (JWT)
JSON Web Tokenを使用した認証方式で、ユーザーのログイン状態を管理します。
6. 接続設定 (CORS)
クロスオリジンリソースシェアリングの設定で、異なるドメイン間での通信を可能にします。
学習の流れ
今後の学習では、以下の順序でバックエンド連携を学んでいきます:
- Express.jsの導入: REST APIの概念と基本的なサーバー構築
- MySQLの基本: データベースの設計とCRUD操作
- Prisma ORMの利用: 型安全なデータベース操作
- Fetch API/Axiosでのデータ取得: クライアント側からのAPI呼び出し
- JWT認証の実装: セキュアなユーザー認証システム
- CORS設定: フロントエンドとバックエンドの接続設定
- 実践応用: ToDoアプリにバックエンド連携機能を追加
なぜバックエンド連携が必要か?
Reactのみで構築したアプリケーションは、ページをリロードすると状態が失われます。データを永続化し、複数ユーザーで共有するためには、バックエンドサーバーとデータベースが必要です。
例えば、これまで作成したToDoアプリを想像してみてください:
- タスクデータをローカルではなくデータベースに保存
- ユーザーごとに異なるタスクリストを表示
- 複数デバイス間でタスクを同期
これらの機能を実現するには、バックエンド連携が不可欠です。
まとめ
バックエンド連携は、Reactアプリケーションを「本物の」アプリケーションに変える重要なステップです。これまで学んだReactの知識を土台に、サーバーサイドの技術を習得することで、フルスタック開発者としての第一歩を踏み出しましょう。